大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和29(あ)286 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人前堀政幸の上告趣意について。

論旨は、被告人は富島町選挙管理委員会主宰者の、いわゆる不在者たる選挙人の

近親者縁故者等の手により本来不在者証明書を作成すべき者の名義をもつて不在者

証明書を作成して同委員会に提出すればその近親者等に成規の不在者投票用紙等を

交付するとの指導勧奨に従つて、判示不在者証明書を作成したのであり、被告人に

は不在者証明書「偽造の犯意」も「行使の犯意」もないのに拘らず、原判決は事実

を誤認して被告人を有罪としたものであるから、引用の当裁判所判例に則り破棄せ

らるべきものであると主張する。しかしながら、引用の判例は本件と全く異なる他

の事件につき刑訴四一一条所定の事由があることを判示したに過ぎない判決である

から、本件に適切なものではなく、原判決はもとより右判例と相反する判断をした

ものではない。なお、原判決の認定した事実によれば、所論選挙管理委員会の者が

偽造の不在証明書でもよいとの趣旨を指導したことはないというのであるから、所

論は結局原審の認定と異なる事実を前提として被告人の犯意を否定する事実誤認の

主張に帰し、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても同四一一条

を適用すべきものとは認められない。

よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和三一年一月二四日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

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裁判官 垂 水 克 己

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